目と手の協応とは?
今回は迷路やぬりえをはみ出して書く・はさみなどの道具の操作が苦手なお子さんにおすすめです。
運動や手先の不器用さの原因の一つに協調運動の難しさが挙げられます。
協調運動とは、何か運動や作業をするために、手・足・目などそれぞれの部位を協力して動かすことです。
例えば、歩くときは、右足と左足を交互に動かして歩きます。
何かを書く時は目で書いている情報を確認しながら手を動かします。
縄跳びは手で縄を回してタイミングよく足でジャンプをします。
このように何か運動や作業をするときは、それぞれの部位を適切な動かし方・力加減・タイミングで動かします。
しかし、協調運動が難しいと、どこかの部位の力が強すぎたり、それぞれの部位の動かすタイミングがバラバラになってしまったりします。

字をマスの中に書くときに、目でマスの大きさを確認しても、手を大きく動かしてはみ出して書いてしまったり
縄跳びは手で縄を回した瞬間からジャンプをして、縄が足元に来た時には地面に着地してしまっていたりします。
力の調節が難しいことも協調運動の難しさにつながってしまいます。こちらの記事も合わせて読んでみてください。
今回は、協調運動の中でも、目と手の協調運動について説明したいと思います。
目と手の協調運動は、目と手の協応とも言われます。
目で見た情報をもとに手を動かすのが目と手の協応ですが、目と手の協応が難しいと、
- ぬりえや迷路ではみ出して書く
- はさみで線に沿って切れない
- 投げられたボールをキャッチできない
- フォークで食べ物ではないところを刺す
等の様子が見られます。
目と手の協応の練習にはプリント学習や手先の操作の課題をしてみよう
目と手の協応練習に適したプリント学習とは?
目と手の協応の練習には、めいろ・ぬりえ・線なぞりなどのプリント学習をよく用います。
ここで大切なのは、はみ出さないように書くことです。
枠や線からはみ出してしまうということは、目と手の協調がうまくいっていないということになります。
なので、はみ出さないように書くことを頑張ってもらうと、次第に目からの情報をもとにちょどよい力加減やスピード感で手を動かすことができるようになります。
そして、このような課題を行う時は、
枠の大きい物、線の太い物から始める
事前にはみ出さないルールで行うことを説明する
このような点に工夫しながら課題を行うようにしています。

それではそれぞれ詳しく説明します
枠の大きい物、線の太い物から始めて段階づけをする
課題が難しすぎると頑張れなくなってしまうので、少し難しいくらいの課題になるようにするといいです。
迷路はインターネットで検索すると無料プリントがたくさんあるので、私はよくそれを使います。
枠が太い迷路です。迷路部分は色付きなので、枠の形が目で捉えやすく、迷路を始めたばかりのお子さんにおすすめです。
定番迷路をよく使います。初めは太い枠で、段々複雑な迷路になっていくので段階づけがしやすいです。迷路を始めたばかりのお子さんには野菜・果物迷路も道の幅が太いのでおすすめです。
目と手の協調が難しい場合、目で形を捉えることの難しさがある場合もあるので、何回行ってもはみ出してしまう場合は、枠に色を付けたり、迷路の道に色を塗ったりして、枠の外と内が分かりやすくなるように工夫してみるといいですよ。
ぬりえは、既存のものだと線が細いですし、どこからどこまで塗ったらいいのか複雑な場合が多いです。
なので、紙に四角、丸、三角などの記号を書いてあげ、それをはみ出さないように塗ってもらうようにしています。
自分で記号を書くので、線の太さも調整しやすいですよね。
線なぞりは、薄い色のマーカーで線を書いたものをなぞってもらっています。自分で線を書く場合、太さの調節がしやすいです。
インターネットで検索すると無料プリントがたくさんあるので、それもよく使っています。
たくさんの種類があっておすすめです。初めは太い線の直線から。上手になってきたら角やカーブのついた線にもチャレンジしてみるといいですよ。
線の終わりに点を書いて、点で止まるように書くというのも目と手の協応の練習になりますので取り入れてみてください。
事前にはみ出さないルールで行うことを説明する
はみ出さないように書くということがこの課題でとても重要なので、初めにはみ出さないようにする課題ということを伝えてから行いましょう。
ただ、はみ出すという言葉を理解できるお子さんと、まだ理解が難しいお子さんがいると思います。
「はみださいように」と口頭で説明ができないお子さんの場合は、言葉ではなくお手本を見せてから取り組むようにしています。
また、はみ出した際、もしくは課題が終わった後に「あれ?」と言ったりしてはみ出したところを指さしするようにします。
そして、はみ出しているところは消しゴムで消したりして修正をしてもらいます。
そうすることで、枠から出ないように書く課題なんだということがだんだん理解できてきます。
目と手の協応練習に適した手先の操作の課題とは?
- 丸めた粘土をフォークで刺す(だんだん粘土を小さくしていく)
- 枠の中にシールを貼る
- プットイン課題 参照:集中力・手先・目・認知の機能が伸びる!様々な訓練に使えるプットイン課題とは?
- ひもとおし
- 端を合わせてタオルをたたむ
等の課題を行っています。
その他にも、



おわりに
何か運動や作業をするときは、目で見ることが必要です。ただ、うまく目で形を捉えられなかったり、手の力加減や動かし方がうまくいかないと、目と手の協応が難しくなってしまいます。
不器用ではさみ・ボタン・スプーン・フォークが難しい時は、実際にその道具を使った練習も効果的ですが、目と手の協応練習など基礎を固める練習もぜひ取り入れてみてくださいね。

ありがとうございましたー!