どうして表情理解が難しいの?
自閉症の特性にはコミュニケーションの問題があり、その原因の一つに、相手の表情を理解することが難しいということが挙げられます。
相手がどんな表情をしているか分からなかったり、気づきにくかったりするので、
つまらなそうな表情をしているのに自分の話を続けてしまったり、怒っているのにちょっかいを出し続けたりして、トラブルになってしまう場合があります。
自閉症の方の脳機能の研究では、自閉症の方は表情を認知したり表情から感情を読み取る脳の回路の結合が弱く、うまく機能していないということが分かっています。
また、人よりも物へ注目が向きやすいという特徴もあるため、人に話しかけられても人の顔ではなく、人の周りにある時計やおもちゃや窓の外の景色などに注目が行きやすかったりします。
人の顔を見ていても、顔全体ではなく眼球の輝きや瞬きに注目したり、顔にあるほくろに注目したりと、注意が限局されている場合があり、表情の認識に繋がりにくくなっている場合があります。
表情を理解する練習方法
脳機能的に表情を理解することの難しさがあるため、まずは3つのポイントをお子さんに知ってもらうことから始めます。
- 人には表情の違いがあること
- 相手の顔を見ると表情が分かること
- どんな顔だと嬉しいのか、どんな顔だと悲しいのか
療育の中では、顔のイラストを見てどんな気持ちの表情か答えるプリントを用いて、3つのポイントに気づいてもらうように促しています。
そして、「こういう顔は怒っているんだ」「こういう顔は困っているんだ」と理解が高まるようにしています。

イラストでの練習はよく使われている練習方法で、効果がありますよ。
気持ちを理解することは感情コントロールにも関係する
感情コントロールが難しく癇癪を起してしまうお子さんも多いですが、気持ちを理解することは、感情コントロールに役立つ場合があります。
感情コントロールを練習する際には、
どうして自分は怒っていたのかと原因を分析したり、どのくらい悲しかったのかと程度を分析することで、それではどうすればよかったのか?と対応を考えられるようになることが重要です。
そのためにはまず、自分にはどういう気持ちがあって、どういう時にその気持ちになるのかに気づいてもらう必要があります。
特に「怒り」は二次感情と言って、まず悔しい・困った・不安・悲しいなどの感情が芽生えてから、怒りへと変わっていきます。
そのため、怒りの原因となった感情を理解して、その感情に対する対応ができると怒りの爆発を回避できる可能性があります。
感情コントロールについてはこちらの記事もご覧ください↓↓
表情と気持ちのプリント無料ダウンロード
一般的には3歳~5歳くらいに喜び・悲しみ・怒りの表情理解が発達するといわれているので、3歳以上のお子さんにおすすめのプリントになっています。


顔の表情と合っている気持ちを線で結びましょう。
文字がまだ読めないお子さんには「嬉しいお顔はどれでしょう?」と読んであげましょう。
正しい答えが分からない場合は、どういう時にその感情になるのか例えを出しながら教えてあげます。
例えば
「つまらないというのは、おもちゃもテレビもなんにも遊ぶものがない時のことだよ」
「この間の発表会の時はドキドキしたよね」
など、お子さんが実際に経験したことを例えに入れながら説明すると分かりやすいですよ。
おわりに
人の表情を見たり、気持ちを考えることは大人になるにつれて複雑化してきます。
微妙な表情の違いであったり、複雑な気持ちを理解することは私たちでも難しい場合がありますよね。
なので、小さいうちから相手や自分の気持ちに気づくような機会を作れるようにしてみましょう。
「自分にも他の人にも気持ちの変化がある」ということを知るだけでも大きな一歩ですよ。
なので、まずは表情や気持ちについて気づけるようにして、そこから理解が高まるように練習してみてくださいね。

気持ちを考える、難しいですが大切なことですね。
今日もありがとうございました。
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