ボタン留めは意外と難しい!?
シャツ・ポロシャツ・パジャマなどボタンの付いた服はたくさんありますが、ボタン留めできないからボタンの服は着させていないという方も多いのではないでしょうか。
制服や体操服にボタンがついている場合は、お着替えの時間でボタンを留められないことがストレスになっているお子さんも多いようです。
ボタン留めは一連の動作の中に工程がいくつもあり、意外と複雑な手の動かし方をしないといけないので、不器用なお子さんにとってはなかなか難しい動作になります。
今回は、生活の中で「できた!」が増えるように、ボタン留めの練習方法を紹介します。
ボタンを留める時の一連の流れとは?
- 右手でボタンを持ちボタンホールに入れ込む
- 左手でボタンホールから出てきたボタンを受け取る
- 右手はボタンを離して布に持ち替える
- 右手は布、左手はボタンを引っ張りボタンホールからボタンを出す
※男性用の服はボタンが右側ですが、女性用の服はボタンが左側にあるため、左右の手の使い方は逆になります。
私たちが普段ボタンを留める時は何気なく手を動かしていると思いますが、このように複雑な動作をしています。
ボタンの留め方を教える前に、ボタンを留める時はどういった手の動かし方をしているのか、教える側が理解しておきましょう。
ボタン動作の練習方法
ボタン留めの一連の動作の中で、どの動作ができていないのか観察してみましょう。
うまくできないところは手を取って一緒に行うことで、動作の理解を促します。
また、ボタンを留める動作は、たくさんの動作が含まれているので、できていない動作に特化して練習するのも効果的です。

ここからはそれぞれの動作の練習方法を見ていきましょう。
まずはボタンとボタンホールをうまく持つ練習を。
まず一番基本になるのは、ボタンをしっかり持てるかどうかです。
ボタンやボタンホールを持つ際は、握って持つのではなく、物をしっかりつまんで持つスキルが必要です。
なので、まだうまくできない場合は、物をつまむ課題やピンチ力がつくような課題を行います。
シール貼り、小さい物や細い物のプットイン課題、小さいビーズのひも通しなどは指先でつまむ課題になります。
レゴブロックなどのブロック、紙をやぶる課題はピンチ力をつける課題になります。
これができるようになってから一連の動作の練習を始めましょう。
1.ボタンをボタンホールに入れ込む練習
コイン入れを実際にボタンを入れるのと同じ向きで練習します。
穴の大きさはボタンの厚みよりも少し細くして、ぎゅっと押さないと入らないくらいの大きさにすると良いですよ。

このようなボタン教材もよく使います。

これはラミネートしたボタン教材です。布よりラミネートした教材の方がボタンホールがしっかりしているのでボタンを入れやすくなります。
ラミネートができなければ厚紙などしっかりした素材で代用できます。
こちらは布バージョンです。ボタンとボタンホールは大きめにしています。


服についたボタンで練習する時は、初めはボタンを入れやすいようにボタンホールを広げてあげるといいですよ。
2.ボタンホールから出てきたボタンを受け取る練習
このようなボタン教材を使っています。

アンパンマンの口からカードを入れて後ろから落とさないように受け取ります。
落としてしまったらやり直しにすると、「落とさずに受け取らないといけないのか」とやり方が理解できますよ。

後ろから入れたのを反対側から受け取って

3.ボタンを離して布に持ち替える練習
ひも通しはボタンの動作と似ていて持ち替える動作が必要になります。
なので、布からボタンへの持ち替えが難しい場合は、ひも通しで持ち替えの練習をします。
4.ボタンホールからボタンを出す練習
ボタンを引っ張り出すには、しっかり物をつまむだけでなく指先に力を入れたまま引っ張ることが必要です。
この動作の練習にはビニールテープをつまんで引っ張る練習をします。
粘着力があるので練習することで引っ張る力がつきます。
服についたボタンで練習する時は、ボタンホールから半分くらいボタンを出してあげ、それを引っ張り出してもらいましょう。
うまく引っ張り出せない場合は、手を取って一緒に引っ張り出すことで、手の動かし方の理解を促します。
また、ボタンホールから完全にボタンが出てきていないのに、少しボタンを引っ張っただけで手を離してしまう場合があります。
これは、どのような状態になったら完成か分かっていないということになります。
そのような時はボタンにイラストがついたシールを貼って、「イラストが全部見えたら完成」と、完成が分かりやすいようにするといいですよ。


ここまでそれぞれの動作に特化した練習方法を紹介しました。それぞれの動作ができるようになってきたら一連の動作を練習しましょう。

ここからは一連の流れの練習方法でーす!
まずは机の上で練習
まずは手元がよく見えるように机の上にボタンの服を置いて練習しましょう。
ボタン教材を使って練習するのもいいですね。


実際に服を着て練習
まずは大きめのボタンの服で練習してみましょう。
ボタンの掛け違いがないように、一つ一つボタンの色を変えてある服もあります。
お子さんの手を取って練習する場合は、お子さんと対面になって手を取るより、お子さんの背面から一緒にボタンを持つ方が、手の動きを合わせやすいですよ。
おわりに
ボタンはとても複雑な手の動きなので、うまくできるようになるまでに、何年かかかることもありました。
ボタンがうまく留められなくても、ボタンがない服を着ればいいという考え方ももちろん良いと思います。
ただ、ボタン留めができることで、自分でできることが一つ増えますし、ボタンの練習を取り入れることで、複雑な手の動かし方を身に着けることができます。
ボタンを留めることで、しっかり手元を見る練習にもなりますし、集中力もつきます。
なので、なかなかボタン留めがうまくいかないお子さんでも、「中学生になって制服を着る時にボタン留めができるといいな」くらいの、長いスパンで考えながら練習を取り入れています。
うまく留められない時は、スナップボタンやマグネット式のボタンに変えることで、自分でボタン留めができたりします。
このような簡単に留められるボタンも取り入れながら、並行してボタン留めの練習を取り入れるのもアリかなと思います。

難しい動作にはなりますが、ボタンの練習を取り入れることで、手の機能がかなり向上しますので是非取り入れてみてください。