発達障がいのお子さんには、手先が不器用なだけでなく体の使い方もぎこちないお子さんがいます。
不器用さの原因には様々な理由がありますが、原因の一つにボディイメージの低さが挙げられます。
ボディイメージとは自分の体のイメージのことで、ボディイメージが形成されていると自分の体の大きさはどれくらいか、手足の長さはどれくらいか、自分がどんな姿勢をしているのかなどイメージすることができます。
反対にボディイメージが低いと、自分の体の大きさや長さが分からなかったり、自分がどんな姿勢でどんな動きをしているのか分からなかったりするので、
- 物によくぶつかる
- お着替えが苦手
- マット運動や鉄棒などが苦手
などの様子が見られます。
自閉スペクトラム症のお子さんは、感覚の問題を持っていることがありますが、この感覚の問題を持っていると、ボディイメージが形成しづらくなります。

漫画に出てくるお子さんは、私がボールの準備をしている間に、ジャングルジムの中に入ってみようと思いついたようです。
ただ、小さい子ども用のジャングルジムだったので出られなくなってしまいました。
私が「まずはここから手を出して」など一つ一つ動作を教えることで無事に出てくることができましたが、ボディイメージが低いため
・ジャングルジムを見た時に、自分の体の大きさに対してこのジャングルジムは小さいということが分からなかった(自分の体の大きさが分からない)
・ジャングルジムからどういう姿勢になって出てきたらいいか分からなかった(自分がどんな姿勢になっているのか分からない)
ということが起こってしまいました。
例えば、私たちが初めて乗る車を運転する時、車の長さや車幅が分からず
「この細い道は通れるのだろうか?」「この障害物をよけながらバックして駐車するにはどうすればいいのだろうか」と分からなくなりますよね。
ボディイメージが低いということは、そのような感覚に似ていると思います。

それでは、ボディイメージが低いお子さんにはどのような対応をすればよいのでしょう。
ボディイメージが低いお子さんには、ボディイメージが高まるような遊びを取り入れてみましょう。
ジャングルジムやトンネルなどの遊具は、頭をかがめて中に入ったりすることで自分の体の大きさを知ることができます。
うんていや高い所の物をジャンプして取るゲームは、自分の手の長さを知ることができます。
ツイスターゲームや新聞紙にあけた穴をくぐりぬけるゲームは、自分の手の位置や足の位置など姿勢への理解が高まります。
このように物に自分の体を合わせて動かすような遊びはボディイメージを高めることが期待できます。
また、自分の動きや姿勢は客観的に見る機会が少ないので、鏡やカメラを使って自分の動きを見せて、イメージを高めるのも効果的です。
例えばお着替えが上手くできないお子さんは、鏡を見せながらお着替えしてもらうと、袖や手がどこにあるのか分かりやすいので、動作の習得が早くなります。
鉄棒の前回りやマット運動の練習をする時も、動きを動画に撮って見せると、
「意外と足が上がっていないな」「もう少し足を上げたほうがいい」などどうすればできるようになるかが分かりやすくなります。
乗り慣れない車も狭い道を通ることにチャレンジしてみると、「このぐらいの道は通れるんだ!」と分かったり、「ぶつけてしまった…この道は細すぎたんだな」と分かりますよね。
感覚の問題がありボディイメージを形成するまでに少し時間はかかるかもしれませんが、ボディイメージが高まる遊びを取り入れたり、自分の動きや姿勢が目で見て分かる工夫をどんどん取り入れてみましょう。
コメント
はじめまして!拝見しております。
とても個人的なことになるのですが、大学院を探しておりまして、どちらの院でどういった内容を学ばれたのか、差し支えなければ教えていただけましたら嬉しいです。
よろしくお願い申し上げます。
はじめまして。ご覧いただきありがとうございます。
私が行っていたのは、リハビリテーション学部がある大学院です。
大学院の授業では、より専門的な内容、医療・福祉関係の論文検討、統計学など
主に研究について学びました。
大学院を探す際は、誰から学びたいかで大学院を決める方が多いようですよ。
論文や学会などでそのような方を見つけるのもいいかもしれません。
そのような方がいなければ、自分の専門性に特化した大学を探すと良いと思います。
こども、心理、社会福祉系の大学だと地域で研究されている方も多いので、
自分の研究のフィールドも広がる可能性があります。